学会レビュー : International Conference and Exhibition on Metabolomics & Systems Biology

International Conference and Exhibition on Metabolomics & Systems Biology 基本情報

日時・場所2012年2月20日~22日、米国サンフランシスコにて
演題IDO1(Indoleamine2,3-dioxygenase 1) has a role in the phychiatric manifestations of latent toxoplasmosis.

サンフランシスコ空港近くの Marriott ホテルで開催、出席者は 200 人程度(日本人の参加者は約 10 人)、口頭発表演題の 9 割は大学の研究者であった。

発表の中には癌を対象疾患とするものは多く(全体の 3 割以上)、実際にヒトのデータを扱っている研究も多かった。大学の研究発表が主流を占めるため、メカニズム解明や DB 構築を目的とした基礎的な研究内容が多かった。以下、癌もしくはアミノ酸に関わる演題について紹介する。

 

・IDO1(Indoleamine2,3-dioxygenase 1) has a role in the phychiatric manifestations of latent toxoplasmosis.

Dr. B. Khabaghazvini ?(Univ. of Maryland, USA)

 

IDO1はTrp→キヌレニンへの代謝経路の第 1 段階の酵 素であり、がん患者にみられる血中Trpレベルの低下は、がん細胞による免疫寛容などと関与しているのではないかという仮説も知られている。このパスウェイは IFN-γによって誘導されるが、T,gondiiという原生生物(全世界人口の約半数が感染しているといわれている)は、IFN-γが高発現環境下においてIDOの発現を誘導、その結果セロトニン生合成経路へのTrpの供給が弱まり、その結果として様々な精神障害の原因を形成しているのではないかという発表であった。

 

 

・Conserved features of cancer cells define their sensitivity to HAMLET induced death; c-Myc and glycolysis.

Dr. C. Svanborg ?(Lund Univ., Sweden)

 

HAMLETはα-ラクトアルブミンとオレイン酸のコンプレックスで、広範囲の種類のがん細胞を殺すことが知られている。がん細胞はいわゆるWarburg effectによってglycolysis が活性化している状態であり、そのglycolysisの第一段階であるhexokinase(Glucose→G6P の反応を触媒する酵素) がHAMLETのターゲットであることをプロテオミクスとメタボロミクス解析を駆使して発見した。さらに、HAMLETががん細胞を殺すためにはc-MycやshRNAが関与していることが示された。

 

・Metabolomic and transcriptomic profiling studies to support the identification of biomarkers and to understand the MOA of DGAT1 inhibition.

Dr. Y.Tan ?(Merck Res. Labs., USA)

メタボリックシンドローム治療薬の候補としTGの生合成の最終段階の酵素であるDGAT1の阻害剤開発において、有効性評価や副作用評価のバイオマーカーを探索するという観点から、遺伝子発現や代謝物の変動をモデルマウスにおいて検討を行っている。その中で DGAT1 を阻害することにより BCAA, Tyr, Phe などの血漿中レ ベルが増加することや、同じく血中の遊離脂肪酸レベルが減少することなどが明らかとなった。これらの代謝物をバイオマーカーとして用いることを検討中であるとのこと。

 

 

・Systems biology warehousing: A network of frameworks for effective data integration.

 

Dr. T. Triplet ?(Concordia Univ., Canada)

システムバイオロジー研究においては、どのようなデータベースをプラットホームに用いるかは、研究の質と速度が問われるこの分野において非常に大事な側面である。そこで、複数のDBを比較し、それぞれのメリット、デメリットを評価し、「システム バイオロジー研究に望ましいデータベース像」を明確化しようというのがこの発表の主題である。特に克服すべき課題は、異なるフォーマットのデータをいかに統合的にかつ簡便に扱うことがである。実際、様々な DB を比較検討行った結果、現時点で「理想的な」ものは存在しない (理想的なものに比較的近いものは存在するが)という結論であった。

 

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このほか、ABAはフリーラジカルによりMetより非酵素的に生成されるという情報があった。これまで、ABAの生理学的意味がよく分かっておらず、そもそもどのように生成されているのかという情報も不十分であった。